京都大学の歴史
コラム
2024.10.31
自由。それは京都大学を語る上で、欠かすことのできない言葉の一つです。学生の自主性を重んじ、知的好奇心に基づく自由な研究を尊重する姿勢が、日本を代表する研究型大学を作り上げ、数多くの成果を生み出してきました。
この独特の学風の源泉は、創立当初にさかのぼります。
1897年、京都大学は東京帝国大学に次ぐ2番目の帝国大学として、京都の地に誕生しました。首都東京で、すでに多くの卒業生を輩出し、その地位を確立していた東京帝国大学に対し、学生・研究者の個性を重んじる独自の特色を打ち出しました。
創立当初、ドイツの大学を手本とし「研究を通じた教育」という新たな教育方針を導入したのはその一つ。学生と教員が対等な立場で議論する「ゼミナール」を取り入れ、学生もひとりの研究者として扱い、「卒業論文」の提出を求める教育を本格的に導入したのは、日本で初めてだと言われています。
コンパクトな京都の町で、学生と教員が昼夜を問わず議論を交わし密接に交流できる環境も、「自由の学風」の形成に大きく寄与しました。こうした教育の流れは厳然と受け継がれています。
その結果、約125年にわたり社会に個性豊かな卒業生を送り出してきました。1949年には、日本人として初めて湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞。以来、11人のノーベル賞受賞者が誕生し、フィールズ賞やブレークスルー賞など多数の国際賞受賞者を輩出しています。