アジア・アフリカ地域のフィールド研究
コラム
2024.10.31
京都大学が得意とする研究活動の一つに、「フィールド研究」があります。野山や海、地域などの現場に出かけ、土地を歩き、見て、体感し、時には現地の人々とともに暮らして、机上では得られない貴重な成果を得る。特に、アジア地域やアフリカ地域で世界に先駆けてフィールド研究に取り組み、伝統をつくり上げてきました。
1965年、日本で初めて「東南アジア」の地域名を冠した研究組織が設立されました。現地での研究は、地域社会の調査、熱帯林や農業技術の調査などから始まり、防災やエネルギー・環境分野にも広がっています。以来、長きにわたりASEAN(東南アジア諸国連合)各国とつながりを持ち、加盟国すべてに学術交流を進める研究所や大学があります。
生態学者で日本の霊長類学の生みの親と言われる今西錦司らによる、アフリカをフィールドとした野生動物研究は、文化人類学研究へと拡充され、1986年、日本初のアフリカ専門の研究機関が開設されました。「ヒトがなんであるかを知りたい」という探求心を原動力に、ヒトに近い類人猿の研究、自然に強く依存して生きる狩猟採集民の調査を通じて成果を上げ、「探検大学」とも言われる海外調査の歴史を積み上げています。
京都大学の地域研究の特徴は、複数の研究分野を組み合わせた学際性にあります。狩猟採集による栄養摂取状況の調査など、自然科学的な手法を用いた「生態人類学」といった研究分野の展開にもつながりました。