伝統と革新の基礎理学
コラム
2024.10.31
「新シキ時代ノ代表者トナレ」
これは、湯川秀樹が物理学研究の目標を定めたとき、ノートに記した決意の言葉です。そこから約1世紀。京都大学の基礎理学研究分野では、たゆまぬ真理の探究により国際的に顕著な業績を収めてきました。
この精神を受け継ぎ、京都大学は基礎理学を追究する研究所を設立しています。1953年には、湯川のノーベル賞受賞を記念して基礎物理学研究所を創設。素粒子から宇宙まで、幅広い研究が行われています。その10年後には、数理解析研究所が日本初の数学・数理科学の専門研究所として開設されました。フィールズ賞や、ガウス賞、チャーン賞、ブレイクスルー賞などの受賞者を多数輩出し、確率微分方程式の発見や、代数解析学の構築・発展など、常に世界をリードし続けてきました。
現在、応用数学分野は、AIやビッグデータ解析技術の発展により注目が高まっています。企業との共同研究も展開され、その一つの、未来のモビリティ社会の基盤研究では、安心して使えて誰もが納得する移動を数学的に保証する新たなアルゴリズムの開発が進められています。
素粒子物理学の分野でも、革新的な研究が進められています。爆発的に進化している機械学習を理論物理学研究と融合させ、新法則の発見や新物質の開拓など基礎物理学の重要な課題に挑み始めました。京都大学は、これからも純粋理学の最前線に立ち、新たな時代を切り拓く挑戦を続けていきます。