希少植物・絶滅危惧植物の持続可能な域外保全ネットワークの構築
人間・環境学研究科(当時), 地球環境学堂(現在)
現在、絶滅の恐れのある植物や個体数が減少し続けている植物の保全においては、様々な問題があります。例えば、自生地での環境破壊や動物による食害、外来種との交雑といった複合的な要因、また、希少植物や絶滅危惧植物を保全する役割を担う植物園の閉鎖なども問題の一つです。消滅の危機にある希少野生植物を保全するためには、一時的に自生地以外(域外)に避難させ、個体数を回復させていく必要があります。
本プロジェクトでは、数種の希少植物、絶滅危惧植物を研究対象とし、自生地以外で保全(域外保全)し、植物の遺伝情報や産地情報を明らかにするとともに、その情報を維持管理していくためのネットワークシステムを構築。最終的には、その植物を自生地へ植え戻すこと(野生復帰)を実践するために、普遍的な仕組みを作ることが目標です。誰もが簡単に情報共有・管理できる仕組みを検討し、欧米の機関で多く利用されているバーコード管理の方法を試行しています。
以上の研究は2018年3月に終了しました。域外保全個体の管理システムはQRコードタグを用いたオンライン管理に発展させて、環境省と日本植物園協会によって採用・運用されています。各小学校を核にした生息域外は、地域ぐるみでの域外保全として公民館や駅前のロータリーなどにも配置されている場所もできました。