Researcher

研究者

美術作品の過去をひも解き未来を提案する

田口かおり
人間・環境学研究科

「美術作品をなおす」ということに、人間はいつから興味を持ちはじめたのでしょう?古代の記録をひも解けば、そこには「古くなったものを交換する」「磨き洗う」人間の姿が垣間見えます。こうした技法は、ときに隠された技としてひそやかに伝承され、詳細はあいまいなままになってきました。私の研究では、謎に満ちた保存修復の発展の歴史を、医学や科学、美学、美術史などとの交わりから見晴らしつつ再構成することを試みています。オリジナルとは何なのか、より望ましい保存や修復とは何なのかを、美学や思想史の文脈からも考察し、作品の多様な「生」のあり方や未来について検討する──そんな日々の研究成果を、現代美術をはじめとする作品群の実践的な保存修復に応用して、私たちの未来の文化財を守り記憶する方法を考案しています。

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