脳の窓から超高齢社会の問題へ迫る
人間・環境学研究科
超高齢社会において、加齢による認知機能の低下への対応が重要な課題となっています。これに対し、従来は加齢にともなう脳の生物学的な変化に着目した研究が多く行われてきましたが、社会的動物であるヒトにとって、認知機能を社会との関係性の中で捉えることも重要です。私たちの研究では、認知機能の中でも特に「記憶」に着目し、加齢や脳損傷などの脳の生物学的変化と、情動や報酬などの心理過程との相互作用によってヒトの記憶がどのように変化するのかについて、機能的磁気共鳴画像(fMRI)などの脳機能画像研究から検証しています。研究を通して、認知機能がさまざまな社会的文脈によってポジティブにも変化し得ることを示し、「加齢=低下」の枠組みを超えた新しい生涯観を、科学的エビデンスをもとに提唱していきたいと考えています。