「個体発生」の謎を解明し、臓器形成を実現する
医生物学研究所
一つの受精卵から数十兆個の細胞で構成される人体がつくられる「個体発生」は極めて複雑なプロセスで、未解明の謎が多く残されています。非常に複雑にも関わらず、なぜ再現性が高いのか?遺伝子などのゲノムの情報はどのように読み取られて手や顔といった複雑な形が出来上がっていくのか?また、個体発生は先天的な病気にも密接に関与しており、こうした謎を解き明かすことは人類の健康にも重要な意味を持っています。私は人体の発生プロセスを試験管内で部分的に再現することで、体のさまざまな部位になる能力を持つ「幹細胞」から、臓器に似た組織を誘導する技術を研究しています。現時点では臓器の一部分の再現にとどまっていますが、発生過程の理解を進めることで、十分に機能する臓器を自在につくれる技術につながることを期待しています。