Researcher

研究者

異質な意見が新たな視点と創造力を生み出す

津田謙治
文学研究科

古代地中海世界でユダヤ教から派生し、さまざまな民族・文化を取り込みながら教説を発展させてきたキリスト教。その中には、早い段階から主導的な共同体に対して異質な意見を説く集団がいたことが確認されており、彼らは後に異端者と見なされるようになります。異端には、正統を脅かす者という否定的な意味が含まれますが、近代以降、むしろ異端の見解によってそれまで曖昧だったものが可視化され、彼らとの論争が正統的教義を形成する契機の一つとなったと考えられるようになりました。異端研究は、その時代の共同体や社会に隠された問題やニーズを浮き彫りにし、それに対する応答のメカニズムの分析を可能にしてくれます。これらは、現代のカルト問題や社会のさまざまな軋轢を分析する手掛かりを提供してくれるものと考えています。

Go to page top