菌類視点で森林の捉え方を広げる
フィールド科学教育研究センター
森林では多様な生物が互いに影響を及ぼしあいながら生育しています。こうした森林生態系の構造の理解は、森林の適切な管理・保全を行う上で不可欠です。菌類は、難分解物質の分解や樹木との寄生・共生といったユニークな機能を介して樹木の成長を促進することもあれば、樹木を絶滅寸前まで追いやることもある、森林の維持にプラスにもマイナスにも働く偉大な存在です。しかし、直径数マイクロメートル(µm)の糸状の構造で生活する菌類はわれわれの肉眼で観察することができず、その多様性や機能の全容はまだ十分明らかになっていません。どこにどんな菌類がいて、どんな機能を果たしているのか――それを地道に解明していくことで、森林のより深い理解やより良い管理につなげていきたいと考えています。