食文化への敬意を込めた、持続可能な未来の料理
農学研究科
20年前、私は食糧生産の改善によって環境、健康、文化に関する多くの課題を解決できると信じて、カンボジアで持続可能な農業 の研究を始めました。時間が経つにつれわかってきたのは、高効率で公平な農業システムは「実験室でつくられる」のではなく、都市部の消費者、農家、研究者がより密接で敬意ある関係を築く中で生まれるということです。同時期に世界中で花開いた「フードスタディーズ」という新しい分野に触れ、食糧システム全体を見渡すアプローチを教育・研究に取り入れてきました。現在は、古代の料理の栄養的合理性の解明、在来の野生作物や土壌細菌、伝統医学と食や農業の関係の解明といった、新たな課題に取り組んでいます。さらに、持続可能な方法で伝統的な食文化をアップグレードするための、若い世代への食文化継承のあり方も探究しています。