いまさらではなく、いまこそ原爆を再検証する
複合原子力科学研究所
広島・長崎への原子爆弾の投下や福島第一原子力発電所での事故では、多くの方々が犠牲となり、その苦しみは今なお続いています。このような過ちが二度と繰り返されることのないよう、われわれ研究者は徹底的に科学的な検証を行い、その結果を広く社会に示す必要があると考えています。私は広島に投下された原子爆弾の痕跡として、爆弾の原料であったウランを含んだ微粒子に着目しました。写真のように深さ30cmの土壌試料を広島で採取し、その中から微粒子を見つけ出して最新の技術で分析することで、原子爆弾が炸裂したあとにキノコ雲の内部でどのような事象が進展したのか、「黒い雨」などの原爆降下物がどのようにもたらされたかを再検証しています。この研究を通して原爆の影響をあらためて考察しなおすとともに、合理的な原子力防災システムの実現にも貢献したいと考えています。