多様な生物機能が生まれるメカニズムを解き明かす
生態学研究センター
生物種の約40%は寄生生物であり、すべての野生動物は少なくとも一種の寄生生物に寄生されていると言われています。そうした寄生生物の中には、寄生相手の生物の生理状態・形態・行動を自らの利益となるよう効果的に操作している種が多くいます。寄生生物による宿主操作は個体レベルの影響にとどまらず、生態系レベルのエネルギーの流れや物質の循環といった高次の生物機能を創発することも明らかになりつつあります。たとえばハリガネムシはバッタの仲間カマドウマに寄生し川に飛び込ませますが、それをサケ科の魚が食べることで、川の生態系にも影響を与えているのです。宿主操作の仕組みは未だ謎に包まれています。私はこの仕組みを解き明かし、多様な生物機能が生まれるメカニズムを人間社会のために持続的に利用する道を模索していきます。